拙著『異次元緩和 経済敗戦と背徳者たち』vs.黒田前総裁『独白』が問う 真の歴史的評価
批判記者として「異次元緩和」の歴史的評価を問う
アベノミクスと異次元緩和を最初から最後まで取材した記者は、メディア全体を眺めても極めて少ない。結果的に私もその一人になった。そのなかで「最初から最後まで批判を続けた」と特定するならもっと少ない。おそらく新聞記者では私一人だけだと思う。
この本は、今の誤った経済政策を修正するために、そして将来の財政や金融政策に禍根を残さないためにも「アベノミクス=異次元緩和」の過ちをきちんと記録し、正当な歴史的評価をしておくべきだと考えて書いたものだ。それが一貫して批判してきた記者としての責務だと考えた。
折しも、私の歴史認識とまったく逆側から「金融緩和は成功だった」と訴えようとしているのが黒田東彦・前日銀総裁である。新著『独白 デフレとの闘い 異次元緩和の10年と物価安定の真実』(光文社)を10月に発売予定という。
こういう政策当事者やリフレ論者たちによる自己正当化が、正統的な歴史認識にならないようにしたい、そう考えたのが私の執筆動機だった。その意味ではいいタイミングでの出版になったと思う。
「緩和は成功だった」と自ら評した黒田前総裁の著書

黒田前総裁の新著『独白 デフレとの闘い 異次元緩和の10年と物価安定の真実』(光文社、10月15日発売予定)の本の表紙
amazonに掲載された黒田本の宣伝文から黒田氏の主張の趣旨がわかるものを下記に抜き出した。
「あの決断なしに、日本経済の再生はなかった」
世間の批判には「カウンターファクチュアル(反実仮想)」がない
「金融緩和は成功だった」
確信とともに退任した伝説のトップが明かす、激動の10年の全内幕。
要は異次元緩和はすばらしかったという自画自賛である。
これに対し、私の本では異次元緩和の過ち、副作用、問題点を洗いざらい取り上げている。
発売までまだ1カ月余りあるが、その間のニュースレターでおいおい、さわり、読みどころをご紹介していきたい。今回は新著の全体像を説明した「はじめに」を全文掲載する。
