悲劇の日銀総裁・白川方明氏『通貨に信用を刻印する』を読む/中央銀行に独立性はなぜ必要か
アベノミクスに抵抗し、安倍晋三政権から強い圧力を受けた悲劇の日本銀行総裁・白川方明氏。新著『通貨に信用を刻印する』で、異次元緩和の熱狂とその後の構造的課題を冷静に分析した。金融政策は何をすべきだったのか。どうしてこうなったのか。現時点で考えられる限りの答えを導きだした中央銀行論の粋である。今回は数多の論点から、核心が揺らいでいるように見える「日銀の独立性」について紹介したい。
原 真人
2026.08.21
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日本記者クラブ記者会見で講演する白川方明氏(2018年10月22日)。同クラブのホームページから
まずは白川方明・元日銀総裁(76)のプロフィールから紹介しておこう。
東京大学経済学部を卒業後、米シカゴ大学大学院を修了。日銀では金融政策、金融市場、調査統計など主要部門を経験し、企画局審議役、企画担当理事などを歴任した、日銀のエリート中のエリートだ。
日銀退任後は京都大学教授を経て、2008年3月に日銀副総裁に就任した。当時は衆参の「ねじれ国会」で、与党・自民党が推した総裁候補が相次いで野党・民主党の反対に遭い、国会の同意を得られなかった。その結果、与野党の調整の末、白川氏が同年4月に総裁へ繰り上がった。