政治家の圧力に官僚は抗せるのか?/機能不全に陥らせた第2次安倍政権の罪
自民党の簗(やな)和生農水相が選挙で首長が自分を支持しなかった自治体の道路予算を「カットした」と発言した問題は、資質に欠けた一政治家の問題にとどまらない。結果的にその圧力が効いてしまっていたとしたら、この国の国家運営システムに重大な問題が生じている証しではないか。時の政権が絶対権力となり、国家のあらゆる牽制装置が機能不全に陥りつつある。そんな可能性さえある。
原 真人
2026.10.09
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簗農水相は10月6日の定例記者会見で疑惑について釈明した(写真は農水省の会見動画から)
この問題を巡っては、まだ事実関係がすべて明らかになっていない。現状でわかっている、あるいは説明されているのは次のようなことだ。
簗氏が予算額決定前の2月、国土交通省の官房長を呼び出し、栃木県の選挙で自分を支持しなかった首長のいる2つの自治体への予算配分を尋ねた。
簗氏は高市早苗首相にきわめて近い。2月の衆院選で簗氏の応援に駆け付けた高市氏は「簗ちゃんがいないと困る」と演説で持ち上げた。
国交省官房長は事務次官、技監に簗氏からの問い合わせについて報告した。道路局への情報共有はしなかった。
結果的にその2自治体の道路予算は26%減、54%減と大幅に減った。両自治体の担当者は「これだけ減額されることはなかった」と言う。
簗氏は5月、自民党支部の懇親会で、この2自治体の道路予算を「大幅にカットをしました」と発言した。
この問題が週刊誌報道で明らかになると、簗氏は国交省への問い合わせは認めたが、削減の働きかけは否定した。
国交省の当時の官房長は省内の聞き取りに対し「細かいメモもなく、はっきり覚えていない」「働きかけや圧力を受けたことはなかったと思う」と答えた。